前十字靱帯断裂(TPLO法)
- 外科
この病気について
前十字靱帯とは、後ろ足の大腿骨と脛骨を繋ぎ、関節を安定させている靱帯の一つです。この靱帯が損傷することで脛骨が前方へずれるのを制御できなくなり、後ろ足の痛みや違和感から破行(足をあげる、体重がかけられない)などの症状が出ます。
原因
人ではスポーツ時の外傷や交通事故などによる急性の断裂が一般的です。一方犬の場合、靱帯の加齢性変化(変性)が根底にあり、さらに肥満による関節への負荷や散歩やジャンプなど日常のささいな動きがきっかけとなり断裂するケースがほとんどです。
治療方法
保存療法:安静(ケージレスト)と痛み止めの処方を行います。外科手術と比べて関節の不安定は残りやすく、関節炎も悪化しやすい傾向にあるので注意が必要です。
外科手術:状態によって様々な方法がありますが、中でも最もよく行われる方法が「Flo法」と「TPLO法」です。
Flo法:大腿骨と脛骨の間に人工の糸をかけて脛骨が前に出ないよう制限する手術です。特殊な器具を必要しないことから実施施設も多いですが、長期間の安静や人工糸の緩みや断裂、関節可動域の低下などが注意点として挙げられます。
TPLO法:脛骨公平部水平化骨切り術のことで、骨を切ってその角度を変えることで膝にかかる負荷を軽減する方法です。現在前十字靱帯断裂の手術ではこの方法が最も足の機能回復が早く、治療成績が良いとされています。ただし特殊な器具や手技が必要なため実施施設が限られています。
経過と予後
本症例はTPLO法にて手術を行いました。数日間の入院と安静は必要ですが、Flo法に比べ期間はかなり短くなります。
犬では一度片方の前十字靱帯を断裂すると約40%の確率で反対側の人体にも損傷が起こるとされています。中年齢以上に多く、どの犬種にも起こりうる病気ですので注意しましょう。
術後レントゲン写真
脛骨を骨切りし、専用のTPLOプレートを設置しています。
